2025.11.17技術情報
試作と量産を同じ会社で対応するポイント
製品開発において、「試作」と「量産」は切っても切り離せない重要なプロセスです。
試作での検証結果が量産の品質・コスト・納期に直結するため、この二つを同じ会社で対応するかどうかは開発成功の鍵を握ります。
ここでは、試作と量産を同一の会社で行う際のポイントとメリットについて解説します。
| 目次 |
| 1. 設計意図を共有できる 2. 製造性を考慮した試作が可能 3. コストと納期の最適化 4. 品質管理とトレーサビリティの一貫化 5. 問題発生時の対応が迅速 6. まとめ |
1. 設計意図を共有できる
試作と量産を別会社で行う場合、設計意図や仕様の細かい背景が伝わらず、トラブルが発生することがあります。
同じ会社であれば、設計者・製造担当者が直接コミュニケーションを取れるため、情報伝達のロスがありません。
● 設計意図を理解した上で製造工程を最適化できる
● 不具合発生時も設計者が即対応できる
● 試作段階のノウハウを量産へスムーズに反映できる

2. 製造性を考慮した試作が可能
試作段階で量産を見据えていないと、「試作では動いたが量産できない」という問題が起こることがあります。
同じ会社で試作と量産を行うことで、「製造性(DFM:Design for Manufacturability)」を考慮した設計が可能になります。
● 部品調達性や実装性を踏まえた設計ができる
● 量産時の歩留まりを意識した試作評価が可能
● コストと品質のバランスを早期に検証できる
3. コストと納期の最適化
試作から量産までを同じ会社で行うと、設備・治具・ノウハウを共有できるため、全体のコストを抑えられます。
● 試作用基板・設計データを量産に転用できるケースもある
● 部品や材料の手配ルートを共通化できる
● 試作段階から量産リードタイムを見越したスケジュール管理が可能
結果として、短納期かつ安定した生産移行が実現します。
4. 品質管理とトレーサビリティの一貫化
試作と量産を別々に行うと、検査基準や品質記録の整合が取れない場合があります。
同じ会社であれば、同一基準で品質管理を行えるため、トレーサビリティ(履歴追跡性)が確保できます。
● 検査基準・測定データを共有可能
● 試作から量産まで品質目標が一貫
● 顧客要求や規格対応もスムーズ
5. 問題発生時の対応が迅速
量産移行時には、試作では見えなかった問題が発生することがあります。
同一企業内であれば、設計・製造・品質保証が連携して、短時間で原因を特定・対策を実施できます。
● 試作と量産の担当者が同一情報を参照
● フィードバックループが早く、再発防止が容易
● 開発スピードを落とさず品質改善が可能
6. まとめ
試作と量産を同じ会社で行うことは、情報共有・品質維持・コスト削減・スピード向上のすべてにおいて大きなメリットがあります。
特に、電子機器や組み込み製品のようにハードとソフトが密接に関わる開発では、試作から量産までを一貫して対応できる体制が成功のカギとなります。
「試作は試し、量産は本番」ではなく、試作段階から量産を見据える姿勢が、高品質な製品づくりと顧客満足につながります。
試作からスター電子にお任せください。
この記事を企画・執筆した人

スター電子株式会社
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