2025.11.25技術情報
電子機器のカスタマイズ開発に関する流れについて
電子機器の開発において、既存製品をそのまま使用するのではなく、用途や顧客の要望に合わせてカスタマイズする開発が求められるケースが増えています。
ここでは、電子機器のカスタマイズ開発がどのような流れで進むのかを、一般的な工程に沿って解説します
| 目次 |
| 1. ヒアリング・要件定義 2. 概念設計・仕様確定 3. 回路設計・ソフトウェア開発 4. 試作・動作確認 5. 量産設計・製造準備 6. 量産・納品・アフターサポート 7. まとめ |
1. ヒアリング・要件定義
開発の第一歩は、「何を実現したいのか」を明確にすることから始まります。
顧客の使用環境や求める機能、コスト・納期の条件などを丁寧にヒアリングし、要件を整理します。
● 使用目的(どのような装置・環境で使うのか)
● 入出力仕様、電源条件
● 通信方式(RS-485、CAN、Ethernet など)
● 筐体サイズ、取付方法
● 必要な認証や規格(CE、UL、RoHS など)
この段階で仕様が曖昧な場合、開発側が技術的に整理しながら「仕様書作成のサポート」を行うことがポイントです。

2. 概念設計・仕様確定
ヒアリング内容をもとに、システム全体の構成案をまとめます。
ここでは、ハードウェア・ソフトウェア・筐体設計の方向性を決め、見積りとスケジュールを提示します。
● 回路構成や主要部品の選定
● ソフトウェア構成(制御方式・通信プロトコルなど)
● 試作までの工程とマイルストーン
顧客との合意を得て、正式な仕様書(要求仕様書または機能仕様書)を確定させます。
3. 回路設計・ソフトウェア開発
確定した仕様に基づき、詳細設計を進めます。
| 項目 | 主な用途 |
| 回路設計 | 電源回路、CPU、I/O、通信、センサ、アクチュエータなどの設計 |
| ソフトウェア開発 | マイコン制御、通信プロトコル、ユーザーインターフェースなど |
この段階で、部品の供給性やコスト面も考慮しながら、量産を見据えた設計が求められます。
4. 試作・動作確認
試作機を製作し、実際の動作を確認します。
機能面だけでなく、放熱・ノイズ耐性・消費電力・操作性などを評価します。
● 基板の実装と評価試験
● ソフトウェア動作のデバッグ
● 筐体との組み合わせ検証
● EMC(電磁両立性)や安全規格試験の事前確認
試作段階での課題をフィードバックし、改良設計を行います。
5. 量産設計・製造準備
試作結果をもとに、量産に適した設計へとブラッシュアップします。
● 部品コスト、調達性の見直し
● 実装効率を考慮したレイアウト最適化
● 製造治具、検査装置の設計
● 品質管理体制の整備(検査基準・トレーサビリティ)
この工程では、「試作」と「量産」の両方を同じ会社で行うことで、設計意図の一貫性と品質安定を確保しやすくなります。
6. 量産・納品・アフターサポート
量産工程では、試作で確認した条件を基に製造を行います。
出荷前には全数検査や動作試験を実施し、安定した品質を維持します。
納品後も、以下のようなサポート体制が重要です。
● ファームウェア更新・仕様変更への対応
● 保守・修理・ディスコン(廃止部品)対応
● 次期モデルへの設計データ継承
7. まとめ
電子機器のカスタマイズ開発は、「顧客の課題を技術で解決する」ことを目的とした共同作業です。
仕様の整理から設計・試作・量産・保守までを一貫して対応できるスター電子に依頼することで、
● 情報伝達ロスの削減
● 開発スピードの向上
● 品質の安定
を実現することができます。
カスタマイズ開発は単なる「設計委託」ではなく、パートナーとして共に製品をつくり上げるプロセスといえます。
この記事を企画・執筆した人

スター電子株式会社
この記事は、スター電子株式会社が企画・執筆しています。当社の受託開発・受託製造・自社製品などの実績やお知らせ・関連コラムをご紹介しています。











