2025.09.01技術情報
LCDと有機ELの違いとは?
ディスプレイ技術は年々進化しており、中でもLCD(液晶ディスプレイ)と有機EL(OLED)は
代表的な2方式です。それぞれに異なる駆動方式と特性があり、用途や設計要件によって
使い分けが求められます。
目次 |
1. 発光方式の違い 2. 構造の違い 3. 表示性能の違い 4. 消費電力の違い 5. 寿命と焼き付き 6. 製造とコスト 7. 用途例の比較 8. まとめ |
1. 発光方式の違い

LCD(Liquid Crystal Display) | |
バックライトを用いた透過型。液晶分子の向きを変えて光を制御 | |
有機EL(OLED:Organic Light Emitting Diode) | |
画素ごとに自発光する発光型。バックライト不要 |
2. 構造の違い
項目 | LCD | 有機EL |
バックライト | 必要(白色LEDなど) | 不要(自発光) |
パネル構造 | 偏光板+液晶層+カラーフィルターなど | 有機発光層+封止層など |
厚み | 比較的厚い | 非常に薄い設計が可能 |
3. 表示性能の違い
コントラスト比 | 有機ELが圧倒的に優位(真の黒が再現可能) |
応答速度 | 有機ELの方が速く、動画表示に有利 |
色再現性 | どちらも広色域対応が可能だが、有機ELは高彩度表示に強み |
視野角 | 有機ELの方が広く、色変化が少ない |
4. 消費電力の違い
● LCDは常時バックライトを使用するため、表示内容に関係なく一定の電力を消費
● 有機ELは画素ごとに電力消費が異なるため、黒画面中心のUIでは省電力化が可能
5. 寿命と焼き付き
● 有機ELは特定色(特に青)の劣化が早く、長時間固定表示で焼き付きが起きやすい
● LCDは寿命が長く、静的表示に適している
6. 製造とコスト
● LCDは量産実績が長く、製造コストが比較的低い
● 有機ELは製造プロセスが複雑で、特に大型化や高解像度化には高コストが伴う
7. 用途例の比較
用途 | LCDが適する場合 | 有機ELが適する場合 |
長時間同じ画面を表示 | ○(メーター、サイネージなど) | △(焼き付きの懸念) |
高コントラストが必要 | △ | ○(映像・写真表示) |
薄型軽量が求められる | △ | ○(ウェアラブル、モバイル) |
8. まとめ
LCDと有機ELは、それぞれの特性に応じた適材適所での選定が重要です。
特に設計者や調達担当者にとっては、コスト、信頼性、用途特性を踏まえた部品選定が求められます。
表示品質を重視する用途には有機EL、省電力や静的表示を重視する用途にはLCDが有効な選択肢となります。
この記事を企画・執筆した人

スター電子株式会社
この記事は、スター電子株式会社が企画・執筆しています。当社の受託開発・受託製造・自社製品などの実績やお知らせ・関連コラムをご紹介しています。