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2025.12.01技術情報

ディスクリート部品の実装について

電子機器の基板設計や製造において、「ディスクリート部品(Discrete Components)」は欠かせない存在です。ICやモジュールのような集積回路に比べ、ディスクリート部品は単機能で構成されますが、回路特性の微調整や信号品質の安定化など、多くの役割を担っています。

しかし近年では、LSIやモジュール化が進み、回路の集積度が高まったことで、ディスクリート部品の使用量は減少傾向にあります。これに伴い、ディスクリート部品の実装を得意とする製造先も徐々に減ってきています。とはいえ、信頼性や微細な特性調整が求められる分野では、今なお重要な存在です。

目次
   1. ディスクリート部品とは
   2. 実装方式の種類
   3. 実装設計時の考慮ポイント
   4. 実装品質の確認
   5. まとめ

1. ディスクリート部品とは

ディスクリート部品とは、個別機能を持つ単体電子部品のことを指します。
代表的なものには以下があります。

● 抵抗(Resistor)
● コンデンサー(Capacitor)
● インダクタ(Inductor)
● ダイオード(Diode)
● トランジスタ(Transistor)

これらは単体では単純な機能しか持ちませんが、組み合わせることで電源回路・信号処理回路・アンプなどの動作を構成します。

2. 実装方式の種類

(1) スルーホール実装(DIP)

リード線付き部品を基板の穴に挿入し、反対面からハンダ付けして固定する方式です。

特徴機械的強度が高く、熱や振動に強い。
用途電源回路・大型コンデンサー・コネクタ類など。
注意点両面基板や多層基板では、挿入部品が配線レイアウトの制約になる
ことがある。

(2) 表面実装(SMD / SMT)

リードを持たないチップ型部品を基板表面に直接ハンダ付けする方式です。

特徴小型・高密度実装に最適。
用途信号ラインや制御回路など幅広く使用。
注意点熱ストレスに弱いため、リフロー温度プロファイル管理が重要。

3. 実装設計時の考慮ポイント

(1) 熱設計

ディスクリート部品は発熱が集中しやすく、放熱対策が必要です。
高電力抵抗やパワートランジスタの周囲には放熱パターンを設け、基板温度の上昇を防ぐ設計が求められます。

(2) 配置バランス

ノイズ対策の観点から、信号ライン上の抵抗・コンデンサー・ダイオードなどは最短距離で配置します。
特にデカップリングコンデンサーはICの電源ピン付近に配置することが基本です。

(3) ハンダ実装条件

● 鉛フリーはんだ(Sn-Ag-Cu系)を使用する場合、溶融温度が高くなるため熱ダメージ対策が必要。

● SMD部品では、部品ズレやボイド(空洞)防止のために適切なソルダペースト量とリフロープロファイル設定を行います。

4. 実装品質の確認

ディスクリート部品は部品点数が多く、はんだ不良の発生率も高いため、
検査体制が重要です。

外観検査(AOI)はんだブリッジ・浮き・ズレの検出。
X線検査BGAやリードレス部品の内部接合確認。
電気検査開放・短絡・特性異常のチェック。

5. まとめ

ディスクリート部品の実装は、電子機器の信頼性を支える基本技術です。
近年は集積化が進み、部品点数が減少傾向にありますが、アナログ回路や高信頼性機器では依然として欠かせない要素です。

小さな部品ひとつでも、配置や実装条件の違いで動作やノイズ特性が大きく変わるため、設計段階から熱・ノイズ・機械強度を考慮したレイアウトを行い、確実な実装品質を維持することが重要です。

また、ディスクリート実装を得意とする製造先が減少している今こそ、経験と実績を持つ実装パートナーの選定が重要になっています。

この記事を企画・執筆した人

スター電子株式会社

スター電子株式会社

この記事は、スター電子株式会社が企画・執筆しています。当社の受託開発・受託製造・自社製品などの実績やお知らせ・関連コラムをご紹介しています。

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