2025.12.15技術情報
CADとは? 設計の現場を支えるデジタルツールの基本
ものづくりの現場では、電子機器から建築、機械設計に至るまで、「CAD(キャド)」という言葉をよく耳にします。
CADは「Computer Aided Design(コンピュータ支援設計)」の略で、設計を効率化し、精度を高めるためのソフトウェアです。
ここでは、CADの基本的な仕組みや種類、そして電子機器開発における活用例を解説します。
| 目次 |
| 1. CADとは何か? 2. CADの種類 3. CAD導入のメリット 4. 電子機器開発におけるCADの活用 5. まとめ |
1. CADとは何か?
CADは、コンピュータを使って図面や設計データを作成・編集・管理するツールです。
従来、手書きで行っていた設計作業をデジタル化することで、正確で再現性の高い設計データを短時間で作成できるようになりました。
● 図面の寸法や位置関係を自動で管理できる
● 修正・再利用が容易で、設計変更にも柔軟に対応
● 設計データをもとに、解析・製造工程との連携が可能
2. CADの種類
(1) 2D CAD
平面上で線や寸法を描くタイプのCADです。建築図面や簡易的な回路図など、構造を把握しやすいのが特徴です。
例:AutoCAD、JW-CAD など
(2) 3D CAD
立体モデルを作成し、部品や機構を実際に動かして確認できます。
干渉チェックや熱解析、組立シミュレーションにも活用でき、設計精度と開発スピードの向上に役立ちます。
例:SolidWorks、Fusion360、Creo、CATIA など
(3) 電子回路CAD(EDAツール)
基板設計に特化したCADで、回路図設計やパターンレイアウトを行います。
信号品質やノイズ対策などを考慮した設計支援機能を持つものも多く、電子機器開発には欠かせません。
例:Altium Designer、OrCAD、KiCad、EAGLE など
なお、スター電子ではPADSを使用しており、高密度配線や多層基板の設計にも対応しています。

3. CAD導入のメリット
● 設計変更が容易で、開発期間を短縮できる
● データの共有・管理が容易になり、チーム設計に最適
● 試作前に干渉・構造問題をシミュレーションできる
● 図面データを製造工程(CAM・NC・3Dプリンタなど)へ直接活用可能
特に、基板設計においては部品配置・配線の最適化や、電気特性の検証がCAD上で行えるため、実装品質の向上につながります。
4. 電子機器開発におけるCADの活用
電子機器では、回路設計とメカ設計の両方にCADが使われます。
回路図からプリント基板を設計し、筐体の3Dモデルに組み込むまでを一貫してデータ連携できるのが大きな利点です。
● 「回路設計CAD(ECAD)」で電気的特性を設計
● 「メカ設計CAD(MCAD)」で筐体・外形を設計
● 両者のデータをリンクして干渉チェックを実施
この連携により、「設計段階での不具合発見」や「試作回数の削減」が実現できます。
5. まとめ
CADは、単なる図面作成ツールではなく、設計と製造をつなぐ中核的な技術です。
特に電子機器開発では、回路から筐体までの統合設計を実現し、試作期間の短縮・品質の安定・コスト削減に大きく貢献します。
基板設計を外部に委託する場合でも、CADデータを共有できる体制が整っている企業を選ぶことで、
開発の精度とスピードを大幅に向上させることができます。
この記事を企画・執筆した人

スター電子株式会社
この記事は、スター電子株式会社が企画・執筆しています。当社の受託開発・受託製造・自社製品などの実績やお知らせ・関連コラムをご紹介しています。











