2025.09.08技術情報
タッチパネルの仕組みとは?
タッチパネルは、スマートフォンやタブレット、産業用機器など幅広い分野で採用されている入力インターフェースです。ディスプレイ上で指やペンの位置を検出し、操作を可能にするこの技術は、用途に応じてさまざまな方式があります。ここでは、主要な方式とその特徴を技術者向けに解説し、さらに産業機器や特殊環境での具体的な採用事例もご紹介します。
目次 |
1. タッチパネルの基本構造 2. タッチパネルの主な方式 3. 産業機器向けタッチパネルの採用事例 4. 環境別・用途別での方式選定のポイント 5. まとめ |
1. タッチパネルの基本構造

タッチパネルは、ディスプレイの上に配置されたセンサー層によって、指やスタイラスの位置を検出します。基本的な構造は以下の3層から成ります。
● カバーガラス:保護層として外部からの衝撃や傷を防止
● センサー層:タッチの位置を検出する主要部品
● 制御回路:検出信号を処理し、システムに送信
2. タッチパネルの主な方式
(1) 抵抗膜方式(Resistive) | |
仕組み | 上下2枚の透明電極フィルム間の抵抗変化を検出 |
特徴 | ● 指やペン、手袋でも操作可能 ● コストが低く、産業機器などで広く利用 ● 視認性や耐久性は他方式に劣る |
(2) 静電容量方式(Capacitive) | |
仕組み | 指が近づくことで静電容量の変化を検出 |
特徴 | ● スマートフォンやタブレットで主流 ● マルチタッチ対応が容易 ● 水濡れ環境では誤動作しやすい |
(3) 超音波方式(Surface Acoustic Wave) | |
仕組み | パネル表面を伝わる超音波の変化を検出 |
特徴 | ● 高い透過率と優れた視認性 ● 衝撃や汚れに弱い |
(4) 赤外線方式(Infrared) | |
仕組み | パネル表面に赤外線を照射し、遮断された光を検出 |
特徴 | ● 高耐久性で大型ディスプレイに最適 ● コストは比較的高い |
3. 産業機器向けタッチパネルの採用事例
(1) 製造現場での抵抗膜方式
製造ラインで使用される操作パネルでは、油や粉塵、手袋着用など特殊環境が多く、抵抗膜方式が根強い人気です。軽いタッチだけでなく、スタイラスや手袋越しの操作にも対応できる点が強みです。
(2) 屋外端末での赤外線方式
駐車場の決済端末や屋外の情報表示パネルでは、耐候性と耐久性が重要視されるため赤外線方式が選ばれるケースがあります。温度変化や直射日光の影響を受けにくいことも利点です。
(3) 医療機器での静電容量方式
医療用タブレットや計測機器では、直感的な操作性と高解像度ディスプレイを活かせる静電容量方式が多く採用されています。指先操作を前提とした設計で、操作性の高さが求められます。
4. 環境別・用途別での方式選定のポイント
使用環境 | おすすめ方式 | 理由 |
製造現場(油・粉塵・手袋) | 抵抗膜方式 | 手袋対応・誤動作が少ない |
屋外端末(直射日光・温度変化) | 赤外線方式 | 耐候性・高耐久性 |
医療・検査機器 | 静電容量方式 | 非常に薄い設計が可高解像度表示・直感的操作 |
大型サイネージ | 赤外線方式または静電容量方式 | 大画面対応・耐久性 |
5. まとめ
タッチパネルは、方式ごとに適した環境や用途が異なります。スマートフォンで主流の静電容量方式だけでなく、産業機器や医療、屋外端末ではそれぞれ異なる最適解があります。開発時には、使用環境・操作性・耐久性・コストを総合的に考慮し、最適な方式を選定することが重要です。
この記事を企画・執筆した人

スター電子株式会社
この記事は、スター電子株式会社が企画・執筆しています。当社の受託開発・受託製造・自社製品などの実績やお知らせ・関連コラムをご紹介しています。