2025.04.28技術情報
プリント基板の故障原因
プリント基板(PCB)は電子機器の心臓部であり、その安定動作には高い信頼性が求められます。
しかし、さまざまな要因によって基板が故障することがあります。
目次 |
1. 熱によるダメージ 2. はんだ不良 3. 静電気およびサージ電圧 4. 湿気と汚染物質 5. 機械的ストレス 6. 設計ミス・製造ミス 7. まとめ |
1. 熱によるダメージ
高温環境や放熱設計の不備は、基板や搭載部品に大きな負荷を与えます。
特に電源回路や高電流ライン周辺では、パターンの焼損やはんだクラックが発生することがあります。
対策 | 熱源の分散、ヒートシンクの活用、サーマルビアの適切な配置 など、熱設計を十分に考慮することが重要です。 |
2. はんだ不良
はんだ付けの不具合(クラック、ブリッジ、未はんだ)は接触不良を引き起こし、断続的な動作不良や完全な機能停止の原因になります。
対策 | 適切なリフロー温度プロファイルの設定、フラックスの管理、 部品配置の最適化によってはんだ付け品質を向上させます。 |
3. 静電気およびサージ電圧
静電気放電(ESD)や雷サージなどの突発的な高電圧は、ICやトランジスタなどの半導体素子に深刻なダメージを与える可能性があります。
対策 | ESD対策部品(バリスタ、TVSダイオード)の使用、 適切な接地処理、シールド設計の導入。 |

4. 湿気と汚染物質
湿度の高い環境では、基板表面に結露やイオン性汚染が発生し、腐食やリーク電流、短絡を引き起こすことがあります。
対策 | 防湿コーティングの採用、通気設計、清浄な製造環境の維持。 |
5. 機械的ストレス
基板の曲げや衝撃、振動により、パターン断線やはんだ部のクラック、部品の脱落などが起こることがあります。
対策 | 基板の固定方法の工夫、筐体設計との整合性確保、 部品の配置見直し。 |
6. 設計ミス・製造ミス
パターン設計の誤りや、ガーバーデータと実装データの不整合、部品の取り付けミスなど、設計および製造段階でのミスも故障の一因となります。
対策 | 設計レビュー、DRC(デザインルールチェック)、 製造前の工程確認や実装後の電気検査を徹底。 |
7. まとめ
基板の信頼性を高めるには、設計・製造・実装・運用の各段階で細かな配慮と対策が必要です。
スター電子では、故障リスクを最小限に抑えた設計・製造ノウハウを活かし、安心して長期間使用できる製品づくりを支援しています。
この記事を企画・執筆した人

スター電子株式会社
この記事は、スター電子株式会社が企画・執筆しています。当社の受託開発・受託製造・自社製品などの実績やお知らせ・関連コラムをご紹介しています。